SOLD OUT
【およそ400年を生き残った、怪人の貌】
時々BOLTの旅日記に登場する、城主が営むアンティーク屋。
余裕があると立ち寄る店。
壁の高い位置に飾られた木片が気になる。
城主が手に取り、これは特別古いく美しいと
暇だったのか珍しく随分と熱を込めてその素晴らしさを語ってくれた。
16世紀後半〜17世紀初頭頃と考えられる、フランスの古い家具装飾。
細長い一枚の木には、植物や果実、スクロールが深く彫り込まれ、その中央から、人とも獣ともつかない一つの顔が現れる。
大きく張り出した眉、髭、植物と溶け合うような異形の姿。
これはルネサンス期の装飾に見られる「マスカロン」。
サテュロスを思わせる幻想的な顔を植物文様と組み合わせた、グロテスク装飾のひとつで、こうした意匠は、16世紀後半のフランスで作られた大型のアルモワールやキャビネットにも見ることができ、おそらくこの一片も、かつて壮麗な家具の正面を飾っていた彫刻部材だったとのこと。
深く刻まれたはずの顔や植物は丸く擦り減り、無数の虫喰いと亀裂が走り、木肌は深い黒褐色へ。
元の家具がどんな姿だったのか、どこに置かれ、どんな人々の暮らしを見てきたのか。今となっては知る術もないが家具そのものは失われても、
そこに彫られた怪人だけは残った。
そう何度も出会えるものではない。
特別な一片です。
France
Fin XVIe – début XVIIe siècle
Élément de mobilier en bois sculpté
Décor de grotesques et mascaron de satyre
H48 × W16 cm